chatGPTなどのLLMが画像を認識できるようになって、動植物の同定のハードルが下がった。
同定とは言っても大層なものではなく、「あの鳥はツバメの一種か」とか「あの花はカンナというのか」とか、そういうレベルの話だ。LLMに頼らずとも多少知識のある人なら瞬時に判別がつくだろうし、そうでなくともネットなり図鑑なりで調べようと思えば調べられるようなものではある。
しかし、本当に何も知らない人間は、そもそもどうやって調べればよいかが分からない。どこに着目して検索窓にキーワードを入れればよいか、どうやって科や属のアタリをつければよいか、まずもって見当がつかないのだ。すでに知っている事柄しか調べることはできない、というソクラテスの時代からなされてきた指摘は、検索エンジンの時代にあってもなお有効であった。
そんな時、写真を撮ってchatGPTに投げるととりあえず答えを返してくれる。写真の精度にもよるがそれほど的外れではない(ように見える)し、もし間違っていてもどこに注目すればよいかを教えてくれたりするのでヒントになる。何より、写真を撮るだけなので「ちょっと気になる」という軽い気持ちで簡単に試せるのが大きい。
これに限らずLLMは非常に強力で、そのあまりの強力さゆえに知識や思考を外部に移管してしまうようで抵抗を感じなくもないのだが、認識できる世界が広がることそれ自体は素晴らしいことだ。
今日も近所のキョウチクトウが綺麗に咲いている。
さて、今回取り上げる漫画はさとかつ先生の『琉球蟹探訪』。
さとかつ『琉球蟹探訪』小学館、2025年 蟹かわいい
本作は2022~2024年に発行した同人誌を集めたもので、内容も各話でほぼ独立した話になっている。
収録されているのは、ベニシオマネキの主催する「蟹ツアー」に参加する表題作『琉球蟹探訪』に始まり、巨大ミミズハゼ(?)に連れられて地下を探検する『間隙紀行』、シラヌイと名乗る謎の生物との奇妙な共生関係を描く『干潟備忘録』、自然と人間生活が切り離された社会でのサイバーパンク的物語が展開する『テフテ』、そして小蟹たちの「誕生祭」を目撃する『南ぬ蟹探訪』の5本だ。描き下ろしの『南ぬ蟹探訪』は『琉球蟹探訪』の続編にあたるが、それ以外は(主人公・キリコが共通して登場するものの)各話でほぼ独立した話になっている。
(なお、『琉球蟹探訪』と『南ぬ蟹探訪』には同一個体と思しきベニシオマネキが登場するのだが、いわゆる「利き腕」が左右逆になっている。作画ミスなのか、それとも何か意味があるのだろうか。)
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